「ねぇ、マスター。」3D版動画作成日誌 D01編

ついに最後のパート、D01です。当初から懸案だった場所についに入ってしまいました。


前回(d:id:OIE:20110609)書いたとおり、このパートには歌詞がないため、ある程度視界の前に飛び出すような演出が許容されます。・・にしても、このパートは・・。2D版での見え方を優先したため、カメラに近づくどころか、泡がカメラにビシビシ当たっているような箇所も出てきてしまいました。他のパートではカメラと対象物を離していたのに比較すれば、かなり異色といえます。
事前に検討した際(d:id:OIE:20110603)には、許容範囲としてディスプレイまでの距離の65%程度が近づく限界としていました。もちろん、0%なわけで、到底ありえません(というか、もしこのまま出力しても多分融像できない)。


では、どう対応するか?もう一度カメラの位置を再検討し、離れた距離から撮影するというのも一案ですが、設計のやり直しが大変なうえ、映像が大幅に変化してしまい、当初の意図を引き続き表現することができるかどうかも疑問でした。
ということで今回は、交差法として左右間の映像を補正する量を調整することで切り抜けました。具体的に言うと、After Effectsレンダリングした映像をPremiere上で編集する際、左右の映像をずらす量を他のパートよりも大きくしました。これにより、仮想的に映像全体を遠くに離し、上記の許容範囲に収まるよう調整したわけです。もちろん、調整量が本来の値からかけ離れると映像はゆがんでしまいますが、このD01については、泡は厚みの情報を持っていないため(C02と同じエフェクトのパーティクル)、歪みが表面化しにくいというのは好条件でした。


3D化を考え始めた当初は、対策の検討もつきませんでしたが、実際に対応してみると、意外にすんなりと他のカットにも馴染んでくれたようです。