TVフォトグラフィー

深夜24時10分からNHKで放送していた、「愛虎フォトグラフィー〜甲子園に響く人生賛歌〜」、とても印象に残りました。

http://www.nhk.or.jp/20min/index.html
NHK「ドキュメント20min.」ページ)

タイトルのとおり、甲子園に応援に来る阪神ファンを、写真と音声を通して描くというもの。なんでも観戦中の観客席にテレビカメラが入ることは許可されていないそうで、今回はスチールカメラと音声で収録する・・という形で、特別に取材がOKされたそうです。

ということで、番組中の大半は、静止した写真の大写しに、観客席にいる人々の音声が重ねられるカットで占められていて、通常の番組とは大きく趣が異なっています。・・テレビ番組で、しかも実写のドキュメンタリー的な映像が、紙芝居風に動きますからね(笑)。
でもこれが、通常の映像と全く見劣りしない。むしろ、一枚の写真に押し込められた熱気や想いが、音声と、画像の遷移を通して、じんわりと滲み出てくるような、独特な空気さえ感じられます。「画像の遷移」と書きましたが、例えば観客の表情の変化や移動、応援中の姿をパラパラマンガ的に並べて再現するカットがあります。このときの変化の仕方やタイミングが、多分とてもうまく調整されているんでしょうね。違和感のなさや、先ほどの「独特の空気」の醸成に、深く結びついている気がします。観客の方々に対する取材の姿勢や描き方にも丁寧さが表れているようで、見終わった後の感慨深さもひとしおでした。
これは録画して、何度も見直したかったなぁ・・・。トランジション(映像遷移)のしかたとか、技術的な内容だけでも勉強になるし、番組自体の方向性や雰囲気も好きです。NHKオンデマンドに登録される、ということなので、導入を本格的に考えてみるかな。