「the VOCALOID CV03」勝手に補足

先日発売された、DTMマガジン増刊「the VOCALOID CV03 巡音ルカ」を購入しました。以前発刊された「CV01 初音ミク」が分かりやすく、実質これを教科書に入力していたので、今回のCV03 も購入してみたわけです。(ちなみに「CV02」は発刊されていません。)

CV 03 巡音ルカ 2009年 05月号 [雑誌]

CV 03 巡音ルカ 2009年 05月号 [雑誌]

「CV01」に引き続き、ボーカロイドを使った作曲の工程を追う動画が収録されています。前回はCubase の操作方法など全工程を細かくチェックしていたのに対し、今回の「CV03」では巡音ルカ使用に際して特に注意すべき点、参考すべき点に焦点が当たっています。
で、自分は特に、Cubase 5 + 初音ミクの組み合わせを使ったことがあるので分かりやすいのですが、Cubaseボーカロイド、片方のみ使ったことがある人には若干分かりにくいかな?と思う点がいくつかあったので、勝手に補足・・しちゃっていいのだろうか・・まぁ、話半分に見ていただければ。

「発音の遅れなどを解消したりする機能」(6分15秒)
動画でオーディオインターフェイスとして利用している、AUDIOGRAM3 が持つ機能を紹介している場面。上記は恐らくASIOを指していると思いますが、これ自体は一つの共通的な規格なので、他社が開発・発売しているオーディオインターフェイスでもASIOに対応し、上記の機能を持つものは多数あります。ただし、SteinbergYAMAHA 傘下にある影響か、Cubase 5 を利用していると、設定のプリセットなどで YAMAHA 製品(オーディオインターフェイスに限らず、音源なども)への対応が充実しているというのも事実です。Cubase 5 向けにオーディオインターフェイスを導入する際は、上記の背景を念頭に選択されると良いと思います。
Cubase 5で作ったバッキング」(6分45秒)
今回の「CV03」ではすでにバッキング(メインのボーカル以外の楽器群)は完成済みですが、「CV01」ではCubase4上でのバッキングの入力の工程が動画に収録されています。興味がある方はそちらの動画をご参考に。
「では、VOCALOID を起動します」(9分0秒)
直接言及されていませんが、ReWire機能を利用する際はホスト側のアプリケーション(この場合はCubase 5)を先に起動し、次にクライアント側(今回はVOCALOID Editor)という順番に起動する必要があります。
VOCALOID に戻って、再生をしてみます」(13分5秒)
ReWireで接続ができれば、ホスト側・クライアント側、どちらのアプリケーションからも再生の操作が可能です。(Cubase 5VOCALOID Editor はどちらも Space キーが再生のショートカットキーなので、迷わずSpace キーを叩けばOK。動画中でも、結構強く叩く音が聞こえます(笑))
「再生をして聴いてみましょう」(26分10秒)
・・ルカの声がいきなり変わってます(笑)。少し幼い感じになっていますね。多分、VOCALOID Editor 上で「GEN」ジェンダーファクター)パラメータを小さめに変更したのでしょう。
VOCALOID を使用していますので、ピッチは安定しています」(28分20秒)
ピッチ補正・調整プラグイン「VariAudio」の使用に際する説明。確かにルカは安定しているのですが、ミクの場合は、正確なピッチより低めに発音する傾向があります(「CV01」で剣持氏がインタビュー中に答えられている通り)。そのため、ハモリなどのバリエーション作成以外にも、ピッチ補正用として「VariAudio」は有用です。
「VariAudio を使ってみたいと思います」(28分30秒)
これ以降、ルカの歌声のデータにVariAudio を適用していくわけですが、このプラグインは、すでに録音された音声データに対して適用するものであり、動画でも、ルカの声を録音したデータを利用しています。・・つまり、この作業に入る前に、今までReWire経由でリアルタイムで流していた音声を、録音データ化する必要があるのですが、この部分の説明がごっそり抜かれています。録音データ化は、ReWire 経由で送られてくる音声をCubase上で結線して(入力のラインを対象トラックへ接続して)空きトラックに録音するか、VOCALOID Editor で音声データを書き出すか、2通りがあります。基本的にはCubase上で録音したほうが、編集や同期の手間を考えるとラクだと思いますが、多少結線がややこしくなるので、シンプルにいきたい場合はVOCALOID Editor からの出力を利用するといいと思います。
VST プラグインとして動作する PitchCorrect」(32分40秒)
先述の VariAudio、さらに後で登場する REVerence は Cubase 5 のみの搭載、対するPitchCorrect は Cubase 5/Cubase Studio 5 どちらにも搭載されています。
「REVerence でゴージャスな残響をつける」(34分43秒)
・・ゴージャスなのですが、めちゃくちゃ処理が重いです、「REVerence」。ただ、動画とほとんど関係ない話ですが、4月9日にCubase 5 が 5.0.1 へバージョンアップしたのに伴い、処理の負荷が低減しています。

REVerence
※ ASIO 負荷を大幅に減らし、プラグイン レーテンシーが2,048サンプルから256サンプルに低減
(CPU パフォーマンスはインパルス レスポンス データと使用チャンネルの数に左右されます。)

他の修正・改良項目のためにも、Cubase 5 をインストールしたら、まず本アップデートを適用しましょう。


・・ということで、以上勝手な補足でした。でも、操作しているところを動画で見ると、カタログや解説記事などよりもずっと直感的に感覚が分かると思うので、「CV01」の動画も併せて、一度ご覧になるのがお勧めです。